そんな翔太の言葉に、あたしは一瞬耳を疑う。
だけど翔太はまた話を続けてはっきり言った。
「だからもちろん二人で喋るのもダメだし、目を合わせるのも許さない。今すぐ約束して」
“!!”
そう言う翔太の声は普段通り優しいけど、言ってることはかなり残酷で…。
翔太に抱きしめられながら身動きがとれないあたしは、口をはさむことも出来ずにただ黙っていることしか出来ない。
嘘…もう二度と健と近づくことが出来ないの?
そう思ったら、さすがのあたしも涙が溢れてきた。
「…っ…」
するとその間に、突然そんな約束をさせられている健が翔太に言う。
“お前な、ふざけんなよ”
「!」
“世奈と俺は幼なじみだぞ。生まれた時から一緒にいんだって”
「…」
“っつか、世奈はお前だけのものだと思ってる?違うだろっ…”
「そうだよ」
翔太は健の言葉を遮ると、あたしの耳元に口を寄せて再度言った。
「世奈ちゃんは僕のものだもん。だって恋人同士なんだから」
“!”
「わかる?相沢さん。君みたいな“幼なじみ”っていう浅い関係とはわけが違うんだよ」
翔太はそう言うと、「じゃあ、ちゃんと約束守ってね」とそう言って一方的に電話を切った。
そしてあたしのお腹あたりに回されている腕を肩の方に移動させて、翔太は尚もあたしの携帯を操作し続ける。
「翔太っ…」
お願いだから許してよ。
そう思いながら名前を呼んだら、やがて翔太が言った。
「…はい、これでよしっ、」
「…?」
「世奈ちゃん、携帯返すよ」
翔太はそう言うと、その携帯をあたしの服のポケットの中に入れる。
「…何したの?」
不安だらけでそう聞いたら、翔太が優しい口調で言った。
「世奈ちゃんの携帯に入ってる相沢さんのアドレス、
削除しといた」

