「…じょ、冗談言わないでくんない」
目をきらきらさせてあたしを見る早月くんに、あたしはやっと口を開いてそう言うと、独り先にその場を後にして教室に向かった。
「あ、ちょっと世奈ちゃん…!」
そこで何故か軽々しく名前にちゃん付けされたけど、そんなの無視無視。
あたしは独りずんずんとその場を離れて行くと、階段で盛大なため息をついた。
なに、何なのあれ!
あの人はああやって人をおちょくるのが好きなわけ!?
手当たり次第に女の子口説いていくスタイル!?予想以上に遊んでる男なの!?
そう思いながら、新しい教室に続く階段を上っていると、背後から美桜に声をかけられた。
「世奈!」
「…美桜、」
あたしは美桜の声に立ち止まると、顔だけを美桜に向ける。
美桜は走ってあたしを追いかけてきてくれたみたいで、あたしの横に並ぶと半ば興奮したように言った。
「世奈凄い!翔太くんに即気に入られちゃったじゃん!」
そう言って、目をきらきらさせる美桜は可愛い。けど、今はちょっと複雑だ。

