「…あんまじろじろ見んな、」
「!!」
目を瞑ったままの健が、あたしにそう言った。
「起きてたの!?」
思わずびっくりしてそう聞いたら、「寝そうになってたらお前が帰ってきたんだよ」って言う。
…あ、なんだ。あたしが起こしちゃったのか。
あたしがそう思っていると、健がやっと目を開けて言った。
「何買ってきてくれたの?」
その問いかけに、あたしは袋をガサガサとあさりながら言う。
「えっとねー、レトルトのおかゆに、冷えピタ、風邪薬、氷枕、ジュース!」
「そっか。ありがと、」
「これ全部お金はあたし持ちでいいから、今日はここに泊めて」
「!」
あたしはそう言うと、健にバレないようにこっそりペアリングを外す。
何で外したのかは自分でもよくわからないけど、あたしはそれを外すと制服のブレザーのポケットに入れた。
すると、そうしている間にちょっとびっくりした顔で健が言う。
「ちょっと待て。お前今自分が何言ってるかわかってんの?」
「わかってるよ」
「いや、明らかにわかってないだろ。
俺ん家今日親二人ともいないんだよ?」
「うん、知ってる」
「!」
あたしは健の言葉に頷くと、俯き加減で話を続けた。
「だって、帰れないもん。兄貴に会ったら何言われるかわかんないし。
翔太には兄貴の存在を絶対に知られたくないし…」
「…」
「だから、お願い!」
あたしが手のひらを合わせてそう言うと、健はしばらく黙ったあと「…好きにしろ」とだけ呟いた。
「!!…ほんと!?いいの!?」
「うん、その代わりちゃんと看病しろよな」
「もちろん!」
健はあたしがそう頷いたのを見ると、そのまままた寝返りを打って再びあたしに背を向けた。

