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そして、ペアリングを購入した日から一週間後。

ようやくペアリングが出来て、あたしは翔太と二人で学校の帰りにそれを貰いに行った。

そしたらその途中で、翔太に「明日泊まりにおいでよ」と言われたのだけど…



「あ、兄貴」

「何や、」



兄貴にその了承を得るまでが、なかなか難しかったりする。

あたしは翔太と別れてから早速兄貴がいるカフェに寄ったけど、仕事上何かトラブルでも起きたのか、今は兄貴の機嫌がとにかく悪い。

…こんなに機嫌が悪い兄貴は久々に見たな。


そう思いながらも早速本題に入ろうとカウンターの席に座ったら、何かを見つけたらしい兄貴があたしに言った。



「世奈」

「?」

「それ何やねん」

「え、それって?」

「その指にはまってるヤツ、」



兄貴はそう言うと、ジロリ、とあたしの右手に目を遣る。


ひっ!!


さっき、お店から受け取ってきたばかりのペアリングに気づかれたらしい。

…兄貴目ざといな。

そう思いながら、



「あ、これ?可愛いから買ってきちゃった」



そう言って、決してペアリングじゃないようなことを言ってみるけど、兄貴のその厳しい表情は変わらない。



「嘘つけ、それペアリングやろ。この前どっかの店で全く同じのん見たで」

「!!」



兄貴はそう言うと、「高校生がペアリングなんかすんな!外せや!」と付け加えて目の前の仕事を再開させる。

だけど兄貴のその言葉に納得がいかないあたしは、ここがカフェだということも忘れて兄貴に言った。



「はぁ!?高校生だってペアリングするもん!欲しかったんだからいいでしょ!
兄貴にどーこー言われる筋合いない!」

「!」

「これは大事な彼氏に買ってもらった大事な指輪なんだからね!絶対外さないんだから!」



あたしは兄貴にそう言うと、指につけている指輪を指ごとぎゅっと握った。


しかし、次の瞬間…