だからって全部お金を出させるのは申し訳ない。

あたしがそう思っていると、その横で翔太が嬉しそうに言う。



「ちゃんと名前入れてもらえることになったし、一週間後が楽しみだね!」

「…うん」



お店で選んできた指輪は名前を入れてもらえるらしく、あたし達は迷わずに入れてもらうことにした。

そしたら出来上がるまで一週間くらいかかると言われ、今は手ぶらで店から出てきている。

すると、いつまでも申し訳なく思っていると、翔太があたしに言った。



「…じゃあ、わかったよ」

「?」

「世奈ちゃん、もう一個僕の言うこと聞いて?」

「え、」

「そしたらもうこの話はチャラね、」



翔太の言葉に、あたしは「それなら」と素直に頷いた。


…まぁ、お願いを聞くんなら流石にあたしの気が済むな。



「うん。それだったらいいよ。なに?」



あたしがそう聞くと、翔太があたしの目を真っ直ぐに見て言った。



「一週間後、頼んだ指輪が出来たら…」

「?」

「僕んトコ泊まりにきて?一晩中一緒にいよう、」

「!」



翔太はあたしにそう言うと、「ね?」とあたしに優しく微笑みかけた――――…。