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翔太が学校に戻ってきました。



「世奈ちゃん、」

「…」

「世奈ちゃんってばぁ」

「…」



無事に復帰してくれて、あたしもとりあえず安心してるし、嬉しい。


だけど…



「ちょっと、あんまりベタベタひっつかないでよね!」

「えぇ~」



翔太は人目を気にせずに、さっきからずっとあたしの腰に両腕を回してべったりひっついている。

しかもここは教室。昼休みだし、他のクラスの生徒も来てるのに。


恥ずかしいったらありゃしない。



「…翔太くん、相変わらずだね」



美桜がそんな翔太を見てそう言うと、翔太は笑顔で「ありがとう!」って言った。


いや、ほめてないから。

ってか珍しく呆れられてんだよ、あんた。



「でも、付き合い始めたならそう言ってくれればいいのに。水臭いな、世奈は」

「だって…」



美桜はそう言うと、ちょっと寂しそうにあたしを見る。


…ほんとは、あたしは翔太と付き合ってることを隠しておきたかったし。

(公表すると他の女子に余計嫌がらせをされそうだから)

まぁ、美桜にはいいかなぁって思ったりもしたんだけど。


今日から学校に復帰した翔太が、教室に入るなりみんなに言ったんだ。



『僕と世奈ちゃん、付き合ってるから。みんな邪魔しないでね』



…って。