だって、好きなコの声はいつだって聞いていたいし。
それが世奈ちゃんなら、尚更。
そしてそのあとは、二人でしばらくいろんなことを話した。
学校での授業中に起きたこと。
その時先生が言ったくだらないジョーク。
世奈ちゃんの友達の美桜ちゃんが言った面白い言葉。
…本当に他愛ない話なんだけどそれが僕にしたら幸せすぎて、ずっとニコニコ(ニヤニヤ?)していた。
……それなのに。
“でさ、翔太。明日学校で…”
世奈ちゃんが楽しそうに何かを言いかけた次の瞬間、電話の向こうから思わぬ人の声が聞こえてきた。
“ほら行くぞ、世奈”
“あ、うん”
「!!」
…は…?何、今の。
でもその声は、きっと相沢さん。
電話越しだけどはっきり聞こえた。
え、何。
世奈ちゃん今、
相沢さんと一緒にいるの?
そう思ったら不安になって、僕が何か言おうと口を開いた瞬間、それを遮るように世奈ちゃんが言った。
“ごめん翔太、そろそろ切るね。じゃあ、また明日”
世奈ちゃんはそれだけ言うと、一方的に電話を切った。