実は、勇斗くんはもう知ってる。
世奈に彼氏が出来たこと。
この前俺と世奈がデート出来なかったこともちゃんと知っている勇斗くんは、俺にそう聞くと次の言葉をじっと待った。
「…いいも何も、世奈が選んだことだから」
そんな勇斗くんに俺がそう言うと、勇斗くんはまたアイスコーヒーをくるくるさせて言う。
「ほな、諦めるんか?」
テーブルに片方の肘をついてそう問いかけてくる勇斗くんに、俺はすぐに首を横に振った。
「諦めるわけないじゃん!」
「!」
「今は難しいかもしれないけど、いつか振り向かせて、出来ればずっと世奈と一緒にいたい、」
俺がそう言うと、勇斗くんは「そうか」って安心したように笑った。
「確かに俺は世奈にフラれたし、世奈を困らせたくなくて“温かく見守る”とか言っちゃったけど…」
「…」
「本当は“何でアイツなんだよ”って心の中で思ってたし、今すぐ世奈が俺のモノになったらいいのになーって、そればっか考えてる」
本当、早月翔太のドコにそんな惹かれるんだよ。
世奈がわからない。
俺がそう思いながらそんなことを言うと、勇斗くんは「まぁ確かにな」って言った。
「確かに、何処のどいつかようわからん奴に、大事な妹をとられたないわ」
勇斗くんはそう言うと、残りのアイスコーヒーを口に含んだ。

