それに、なんだか本当にぎゅうっと抱きしめられるから、まるでその腕から健の気持ちが伝わってくるようで、
そのうちいてもたってもいられなくなったあたしは、その瞬間健の肩に手をやって身体を離した。
「…っ、」
「…世奈?」
…ダメだよ、こんなことしちゃ。
あたしは翔太と付き合ってるのに。
自分にそう言い聞かせると、あたしは健に言った。
「…もうそろそろ、いいんじゃない?」
「え、」
「兄貴だよ。今顔だしてもきっと見つからないでしょ?」
あたしはそう言うと、健から逃げるように路地に出ようとする。
「ちょっ、世奈そこは…!」
後ろから健があたしを引き留めようとするけど、あたしは妙に身体が熱くて歩みを止められない。
ってか、今健の方を振り向きたくない。
そしてそのまま後ろの健に構わずに路地に出た瞬間、すぐ傍で聞き覚えのある声がした。
「お前ら、ほんまやらしー事してんねんな」
「!?」
そのめちゃくちゃ聞き覚えのある声に、あたしの身体が一瞬にして硬直する。
そこにいたのは…
「あ、にき…」
兄貴だった。

