「ど、どーせあたしはバカですよ!そんなクッダラナイ罠に引っ掛かるようなアホ女だし!」
「…」
「ってか、いちいちそんな嘘吐かないでよね!こっちは本気で兄貴をっ…」
心配してるのに!
と、拗ねまくりながらそう言おうとした、次の瞬間…
「世奈、こっち!」
「!?」
何故か突如あたしは健に腕を掴まれ、そのまますぐ傍にある路地裏に連れ込まれた。
「ちょっ…何!?」
突然のことにびっくりしてあたしが声をあげると、健は慌ててあたしの口を手で塞ぐ。
「シーッ!」
「!」
健はあたしの口に手を当てたまま、何故かさっきあたし達がいた通りに目を遣った。
…え、何、マジで兄貴がいたとか?
そう思って疑問に思っていたけど、あたしはやがてあることに気がつく。
…っていうかこの状況は…
「…~っ、」
気がつけばあたしは、健と向かい合わせになって抱き合うような体勢をとっていた。
しかも狭い路地裏だし、健はあたしの背中に左腕を回して、右手であたしの口を塞いでいる。
近い…距離が近すぎるって!

