PRESENT [ 気だるげなヒーロー ]







父親のことを知ったとき、
大和は泣かなくなった。



イジメられたりして、
学校から帰ってきたときもあったけど、
あたしに向かって


『親父と俺は違う』



そう言って、自分をぶらさなかった。


あたしみたいに、
喧嘩とかもしなかったし。


母親のために生きた。

そんな感じだった。




「大和誰に変えられたの?」


「お前」


「へ?」



「施設出るとき、お前泣いたから。」


「あ」



単純に寂しかったのと、
いっぱい人がいるところに
帰ってこれなくなるって思ったのと、
両親を忘れちゃうって思ったの。


それが全部混じって、泣いた。



「いつも俺、麻欧に慰められて、励まされて。話聞いてもらって。麻欧が泣くなんてこと一回も泣かなかったろ?喧嘩して、怪我して帰ってきて、俺が手当てしたときも、泣かなかったろ」


「うん。」


「だから、最後泣いたとき、そういや、俺麻欧になんもしてなかったな。って思って強くなろうって思ってさ。こうなった」



「そっか」


「麻欧、まだ喧嘩やってんの?」


「んー、人助けなら」


「へー。問題とかにはなんねえの?」


「自分がやったっていってさ、揉み消す人がいるから」