PRESENT [ 気だるげなヒーロー ]





「で、その子は?」


「佐崎の応急処置と、救急車の要請を頼んだ本人です。」


「なんで、その格好?」


「こいつ自身も倒れたので」


「へぇ。」



別にこんなやつに感謝されたって
どうしようもないが、
普通お礼をいうだろうな。
コイツじゃなかったら。


あたしは黙って佐崎と呼ばれた
男子生徒の元に寄る。



「こんなののために死ぬことねえのに」



「は?今なんて言ったの?あんた」



「こんな母親のために死ぬとか馬鹿らしいって言いました」



「ふ、あははっ。あんた何言ってんの?」



あたしは母親を無視して、佐崎を見る。