一応手すりに手をかけながら、 目的地まで歩く。 あたしのペースに合わせて 隣で歩いてくれてる七瀬。 「ここ。」 ICU。 自殺した人はまだ、目を覚ましてない。 コンコン 「はい」 弱い、ハリのない女の人の声。 あたしと七瀬が入ると、 母親らしき人がいた。 あの弱々しい声は、長い看病で 疲れているからではなく、 面倒臭いからだったらしい。 そこの丸椅子に座ってる状態、 雰囲気、目でわかる。