「大丈夫か?」
そう言って、襲われていた女の子に
自分のカーディガンをかける。
「大丈夫かはお前だよ」
ワイシャツの襟を掴まれた。
掴んだのは担任の七瀬だった。
いつの間にか音も立てずに
あたしの目の前に立っていた。
あたしは中学のころから、
いじめをしていた奴をボコったり、
誰かを襲っている奴をボコったりして
いた。
中学のころはいつもあたしが悪いと
言われ、いつも一人だった。
両親を早くに亡くしていて身寄りがなく、味方など一人もいなかった。
一人が好きだった自分も悪いんだけど。
でも、この七瀬祐汰は変わってる。
あたしがこういうことをすると、
いつも警察呼んで、自分が助けたと言って
あたしが悪く言われないように、
怖がられないようにする。
なんのメリットもないと思っていたが、
七瀬はいつも、教え子が汚れるのが
嫌いだ。
俺の教え方が悪いと言われる。
そう言って、あたしを引き離す。
何を考えているか分からない。

