話しかけようとしたけどできない。


それは、麻欧ちゃんが見たこともないような表情をしていたから。



目に涙が溜まってて、なっちゃんをすがりつくような目で見つめていた。



「お前何サボって「助けて!」」



息が切れているのにも関わらず、麻欧ちゃんは叫んだ。


クールで無口なイメージを持ってるクラスメイトは、皆声も出ずに驚いてる。



「助けて!救急車、救急車呼んで!……お願い」



そう言って、また走っていった。


「麻「麻欧!!!!!!」」



なっちゃんが叫んで教室を出て行った。


"あいつ"


"お前"



一度も麻欧ちゃんの名前を呼んだのを聞いたことがなかった。



「んだよ…………教師のクセに……下の名前呼び捨てって」