[ 如月黎人side ]
「はぁー。」
ガッツリふられて、
正直な気持ちを全部ぶつけられて。
終わった。
『…………あの人はあたしと似てる』
その言葉の時だけ、
麻欧ちゃんは遠い目をした。
麻欧ちゃんは俺の知らない部分をいっぱい
持ってて、でもその知らない部分を
きっとなっちゃんは知ってる。
「勝ち目ねえじゃん。」
「落ち込んでんなぁ。」
屋上に一人なはずなのに、
俺以外の、俺に向けられた声。
声の先を見ると
「………なっちゃん」
「よぉ。」
「聞いてたのか」
「悪ぃな。」
煙草を加えてフェンスに寄りかかってる
なっちゃん。
男の俺でもかっけーなって
思っちまうぐらい。
ほらな。勝ち目ねえ。

