そして北辰テストの結果が届いた。
俺はその結果を絵美ちゃんに差し出すと、絵美ちゃんはまじまじと結果を見つめる。
『…航汰くん、これ…』
俺はキョトンとした顔で、絵美ちゃんを見つめる。
『この結果、すごいんじゃない?』
絵美ちゃんは少し興奮した様子でそう言って、そして、俺に笑顔を見せる。
『てか、喜びすぎ!』
俺の言葉にも、絵美ちゃんはニコニコしてる。
『だって、国語と数学なんてトップだよ!
一学期の成績を見せてもらったときはこんな奇跡が起きるとは思わなかったんだもん』
…結構、この人、酷い事言ってません?
てか、俺の実力を知らないだろ、この人。
『絵美ちゃんさ、俺のこと、ただのスケベな男としか思ってなかったっしょ?』
俺の問いかけにも、絵美ちゃんは“ウンウン”と頷く。
『あのね、俺だってご褒美がかかってるんだから、やるときやんの!』
俺は頬を膨らませながら言い、その顔を見て絵美ちゃんはクスクスと笑った。
『あ、でも、これでアイス行ける』
『太るよ?』
『うるさーい』
今度は絵美ちゃんが頬を膨らませた。
『はい、すいません。
それでいつ、その美味しそうなアイスは奢ってくれるんですか?』
絵美ちゃんは鞄から可愛らしい手帳を開いて、予定を確認する。
しばらくして、
『明後日なら大丈夫かも』
そう言った。
大学生になるとサークルとか合コンとか、色々あんのかな?
『航汰くんは?』
『俺は基本暇ですから』
『じゃ、明後日ね、楽しみだな~』
絵美ちゃんに限って、合コンはないだろうな…。
それに、好きな奴もいるみたいだし。
ふと見つめる絵美ちゃんは、そんなにもアイスが楽しみなのか、まだニコニコしてる。
“楽しみだな”
アイスじゃなくて、俺との約束だから楽しみ、そう言ってくれたらな…
なーんてな、そんなこと絵美ちゃんの口から聞けるはずがないのにな。