怒る?

何で俺が怒るんだ?

むしろ嬉しく思うのは、おかしいのか。

実結が妬いたことが嬉しい。

これが、独占欲ってやつなのかな。

どんどん強くなる、実結への独占欲。

「…チョコ、もらってくれる?」

おずおずと遠慮がちに差し出された、小さな紙袋。

「ありがとう。」

そう言うと実結はやっと笑った。

「今年はね、早紀ちゃんとあゆちゃんとブラウニーに挑戦したんだよ!」

さっきまで元気がなかったのが嘘のように嬉しそうに話す実結。

これからもちょっとしたすれ違いとか、言いたいことが素直に言えなくなることもあると思う。

実結が泣いてたり、落ち込んでたりするときに俺はそばにいてやることはできない。

実結が不安になったり、自惚れだけど寂しがったりしても、すぐに会いにはいけない。

でも俺は実結だけなんだ。

こんなに好きって思えるのは、こんなにそばにいたいって思えるのは、実結だけ。

俺だって遠距離に不安が全くないわけではない。

けど、実結とならお互い会えなくて辛くても、離れてても手放したくない。

恋愛に無縁だった俺がこんなことを考えるなんて実結と付きあう前まではかんがえられなかった。

実結のおかげでいろいろな感情や思いも知ることができた。

感謝したいくらいだ。