「そっか…良かったじゃん!あの子かわいいもんね!やっと桐生にも春が来たじゃん!」

あゆちゃん…

なんでそんなこというの?

なんだか切ないよ。

「でも、俺が好きなのは、歩美だから!」

「へっ!?」

あゆちゃんが顔を上げて、大きく目をひらく。

あたしはまた早紀ちゃんと顔を見合わせる。

今、 桐生君、好きって言ったよね!?

「き、桐生!?今、 …」

「だから!俺のタイプは実結とか原田みたいな子だけど、好きなのは歩美だって言ってんの!」

桐生君の顔が少し赤くなってる。

これは、正真正銘の両思いだ!

「歩美は?」

「…あたしもっ!あたしも、桐生が好き!大好き!」

あゆちゃんはそう言うと桐生君に抱きついた。

あゆちゃん!大胆!

「あーあ、あれはあたしたちがいること完璧に忘れてるわね。」

早紀ちゃんが少し呆れた顔をして、ため息をついた。

「やっとくっついたし、あたしたちもお邪魔しちゃ悪いから行こっか?」

早紀ちゃんが植え込みから伸びをしながら立ち上がる。

あたしは笑顔で頷いた。