いつもと少し違う、颯の表情。

ドキドキする。

颯ってたまーに、ちょっぴりSっぽくなるのかな。

自覚あるのかな。

「実結?」

あたしの髪を弄びながら、首を少し傾ける。

うー!

その顔、反則だよ!

こっちがドキドキさせちゃおうかなって思っても、やっぱりかなわないもん。

いつだってドキドキさせられっぱなしのあたし。

「…言ってください。」

つられて敬語になっちゃった。

颯は少し笑うと、あたしを強く抱きしめた。

そして、耳元で聞こえた、この世で一番甘い魔法の言葉。

今年もあたしを夢中にさせる、言葉。

「実結が好き。」