颯、入れ違いになっちゃった。

鞄のなかから携帯をとりだす。

新着メールが一件、着信が一件。

やっぱり約束したのにいなかったから怒ったのかな…

だけど、今は颯と顔をあわせられない。

「無理矢理されたの?」

いつのまにかあたしの後ろに立っていた都築君。

「…ううん、なんでもないの。だから、忘れて?」

考えてみると、都築君とまともに話したのって初めてかもしれない。

同じ委員会で同じクラスなのに、ちゃんと話したことなかったもんな。

「そう、じゃあもう閉めてもいい?」

いつのまにか5時半を過ぎていて、図書室の閉館時間。

「あっ、ごめんね!帰るね!」

慌てて立ち上がり、ドアのほうに歩こうとした。

「うん、ばいばい、藤咲さん。」

都築君が表情を変えずにめんどくさそうに言った。

なんか変わった人だな…

でも見られたんだよね、都築君に。

はあ…

これからどうしよう…

あたしは重い気持ちのまま図書室を出た。