シーンと静かだった空間に、突如怒りを露わにした女性たちが会話をしながらこちらにやって来る。

「ホントふざけんなって……この写真の人が来るって聞いたから態々参加してやったの」

口調も顔つきもキツイけど凄く綺麗な人。

完璧なメークにカーラーで巻いているのか綺麗に巻かれたロングヘア、それにぴったりの女性らしい装いには全く隙が見えない。

メイク直しをする必要もないのにコンパクトを出して鏡に向かってはいるけど、自分でもその必要が無いのは分かっているのだろう。

鏡に映った自分の姿を満足げに見た後は鏡に背を向けて一緒に入って来た女性に再び怒りを向ける。

「これ2年前の写真とか言ってるけど……ホントは合成写真なんじゃないの?」

「私も会うのは初めてだから断言は出来ないけど、私の出身校にも彼のファンが居たから2年前まではこの写真の姿だったのはホントだと思う」

「だったら2年前に話持って来いって……うわぁーもう頭にきたから帰る」

手にしていた写真をポイとその場に投げ捨て、ヒールの音も高らかにトイレを出て行く怒れる美人。

手洗い器に落ちた写真を拾い上げもう一人の女性に「あの、この写真は……」と声を掛けると

怒れる美人を追ってトイレを出て行きかけた彼女は私の方に振り返り「すみません、捨てて下さい」

そう言い残して去って行った。