鏡を見ながら不意に思い出したのは告白された際に言って貰った言葉。

「錦野さんの小さくて可愛いところが好きです、付き合ってください」

「こいちゃん…ちっこくて華奢で守ってあげたくなる、俺と付き合って」

どれもダイエットで20kgの減量が出来たからこそ言って貰えたセリフ。

告白されたことは嬉しくても”この人”に過去の私も一緒に好きなっては貰えないだろうと勝手に決めつけて、自分が傷つきそうな事から逃げていた私。

飛鳥ちゃんに聞かれた悠斗君の告白にOKの返事をした理由をもう一度よく考えてみた。

強引なナンパをされて恐怖を感じていたところを救い出して貰ったドキドキ感が吊り橋効果となって気持ちを後押ししたのかも知れないなぁー

それともカンナちゃんの言うように無意識に小岩井君の面影を重ねていたのかな?

要するに何が本当の決め手なのか自分自身でもはっきりとは分からない……
という事は分かった。

鏡に映る自分の顔が最高に太っていた高校3年当時の自分の顔と重なって見える。

ダイエットを始めた日から毎日目にしている冷蔵庫の御札は、撮影された当時の気持ちのままに情けない表情をしている。

まん丸いぽちゃぽちゃ顔がほっそりと小さくなったとは言え、今の心情がはっきりと映し出された様はあの当時と同じく……いやそれ以上に情けない顔。

「私もあなたも一緒に好きなってくれる人が今後現れるかな?」鏡に向かって独り呟いた。