「こい…大学に入ってから何度か告白されたって言ってたのに、いつも断ってたでしょ

アイツのどこが良かった訳?」

飛鳥ちゃんに聞かれてよーーーく考えてみる……が、ホントどこが良かったのかなぁー決め手が分からない。

「だよねー、ホントどこが良かったんだろ?分かりません」

「こい。気が付いてなかったの?まぁーこいらしいと言えばそうだけどね。

私はアイツが『小岩井旭』に似てるから付き合ったのかと思ってたけど……」

「えぇーーー」

カンナちゃんの言葉に驚きの声を上げる私とは対照的に納得がいったとばかりに「うん、うん」頷く飛鳥ちゃん。

確かに笑った顔が似てなくもないような?

でも『太陽神』と『詐欺師』を比べたりしないで欲しい……あぁーホントもうヤダ。

カンナちゃんと飛鳥ちゃんのおかげでこの場が暗い雰囲気にならずに助かったと胸を撫で下ろすけれど、昨日の今日で高橋君の仕打ちを忘れるのは難しく胸は今もジュクジュクと痛んだままだ。

「ちょっと顔を直しに行ってくる」笑顔の二人に送り出され席を立った。

割と大きな洋風居酒屋はトイレも可愛く設(しつら)えてあり清潔で気持ちの良い空間。

普段から必要最低限のメークしかしない私だから顔を直すと言っても涙で流れた後を確認してパウダーをのせるくらいしかすることはなかったけれど、乱れに乱れた気持ちを落ち着かせたかったのを二人は知っていて一人にさせてくれたのだろう。