絶対やせて貰います。


一瞬の沈黙の後……

先に口を開いたのは飛鳥ちゃん

専門学校を二年で卒業した飛鳥ちゃんはデザイン事務所に就職が決まり今年の春から一足先に新社会人となっていた。

少し前に試用期間を無事に乗り越えて本採用になったばかりの多忙の身。

社会人の飛鳥ちゃんと大学生の私やカンナちゃんとは立場が違ってしまい、最近は会う機会も減っていたから悠斗君のこともまだ紹介できず仕舞いで今日に至ってしまったから心配してくれた筈、でも飛鳥ちゃんの第一声は私の意表を突くものだった。

「カンナはその高橋って人が信用できないヤツって知ってたのに何でこいに黙ってたの?」

「えっ…飛鳥ちゃん?」

何故か飛鳥ちゃんの怒りの矛先がカンナちゃんに向ってしまい私の方が焦り出す。

その問いに黙ったままのカンナちゃんは切ない表情をしたまま私と飛鳥ちゃんを見つめている。

「はぁーーー」

深いタメ息をついてからおもむろに話始めるカンナちゃん。

「まさか…私が好きで黙ってたとは思ってないよね…あすか?」

ここに居ない悠斗君のせいで親友二人が持って行き場のない怒りをぶつけ合う様を私は唯おろおろしながら見守っていた。

「思わないよ、だからどうしてかって聞いてるの」

「もし、私が強く反対したらこいは高橋と別れたかも知れないけど

それじゃダメなんだよ。

人を疑ったりしないのがこいの長所だけど…

もう大人だからそれだけじゃダメなの。

私だってずっとこいの傍に居られる訳じゃない。

だから……心を鬼にして可愛い子に旅をさせたの」