素人目にも一目で高級だと分かるウエディングドレス姿のカンナちゃんは凛とした立ち姿が貴族的で近寄り難い程に眩しく輝いている。

「そのドレス……絶対オーダーメイドだよね?」

飛鳥ちゃんはプロなので撮影用のドレスじゃないと直ぐに分かったらしい。

「本当にカンナも私たちと一緒に合同結婚式なんかでいいの?」

飛鳥ちゃんが心配するのも当然で、今は入籍だけ済ませて落ち着いたら大きな式場で大勢の招待客を招いての結婚式&披露宴が予定されていると思っていたからだ。

「うちの親もこいや飛鳥と一緒の合同結婚式で大喜びだよ。どこまで招待状を出すか?とか席順の事だとか、煩わしいことに頭を悩ませなくて良かった……だって、でもドレスだけはこれを着けて欲しいって言うからまぁー親孝行のためです」

照れくさそうに言うカンナちゃんは女優から公妃になったグレース・ケリーのような気品に溢れていた。

飛鳥ちゃんのお腹が大きくなる前に結婚式を挙げてしまおう。

そう話している時に舞い込んできたのが、オープン予定の結婚式場での模擬結婚式のモデルの話だった。

パンフレットや映像用のモデルになるなら衣装代も会場代も全てが無料と言われ引き受けてしまったモデル。

自分でお金を払う訳では無いから先方が用意したドレスを着けるのが条件で、私の場合に限っては似合ってはいる。

……でも趣味じゃないドレスを着ける羽目になってしまったのが残念。

二人と並んで立つと私は同じ花嫁と言うよりは……

どう転んでもフラワーガール止まりだなって思えてしょうがない。

「そこの花嫁たち、花婿たちがお見えになったわよ」

陽菜さんの言葉で、旭君。ことちゃん。遼君の三人が花嫁控え室に入って来たのが見えた。