「それはこいの婚約者でいいんじゃないか……あぁーーー」言ってしまった直ぐ後で謀られたと気が付いた父が更にガックリと項垂れる。

「お許しをありがとございます。お義父さん……」このドタバタに乗じて結婚の許しを貰うとは旭君って結構な策士だったのね……ほぉーと感心をし、ゾゾッと鳥肌が立ち恐れも同時に抱いた。

近くで一部始終を観察していたらしいひかるちゃんが大きな声で……

「お母さーん。こいちゃんのお父さんが結婚を許可したよー」と報告したものだから、我が家は更に騒然となる。

「結局は結婚させるんだ……一人も二人も同じ。俺だってまだ現役だ。母さんが協力してくれたら今からだってあと一人ぐらいはいける。それなに……もう孫から『じいじい』って呼ばれるのか?」

ブツブツと自分の世界にどっぷり浸かっている父の声はダダ漏れで、あぁー私ってお父さん似なんだって確信した。

「こと君とお義父さんは俺が体を張ってお守りします。家族なんですから……」

旭君の男気発言に「あぁー頼むよ」そう答えた父の顔が急に老け込んで見えた。