絶対やせて貰います。


気が付けばソファーに押し倒されている。

上から覆い被さる旭君は、さっきの可愛いキスをした人とは別人みたい。

男の色気を匂い立たせ私を翻弄し捲る。

ファーストキスを体験したばかりの私は身が持たない。

始めは啄むようキスだったのが、徐々により深いキスへと変化して行く。

『キスってとても甘いんだね、知らなかった……』

そんなふうに思えたのも始めのうちだけで、呼吸の仕方も分からない私は軽い眩暈を覚え意識が飛びそうになる。

もうこれ以上は無理。

窒息しかけた私を漸く解放してくれた旭君。

全力疾走の後みたいに息があがる。

ゼェーゼェーと胸を上下させ、甘いキスの甘い余韻なんて皆無。

旭君とは真逆の色気ゼロの声を出し酸素を求める……残念な女こと錦野鯉子。

「ごめん……」

旭君の言葉にまたしてもネガティブな思考に囚われそうになるけど……

話を最後まで聞かず、思い込みで暴走する癖は直そう……

それから旭君の続きの言葉に耳を傾けた。

「はぁー。リビングのソファーでこいちゃんを押し倒した……」

前髪を掻きむしって俯く旭君には悪いけど、ホッと胸を撫で下ろす。

「はぁー。私のキスが下手くそ過ぎてがっかりさせたのかと思った
……よかったー」