「旭君。ダイエット終了宣言まで告白してくれなかったのはどうして?」
もっと早くに気持ちを確かめ合えていたら、この一年間がラブラブで楽しい時間になったのに……
そう思ったら、ちょっとだけ残念な気がした。
「はぁ?こいちゃんは高校時代みたいに痩せてる俺がいいんでしょ?」
「私そんなこと一度だって言ってない。私が好きになったのは、昨年再会した時の太った旭君だもの」
うーん。どこからそんな勘違いが生じたのでしょうか?
「ほら。スケッチブック」
「ん?スケッチブックがなに?」
「高校卒業の日に階段の前でぶつかって、こいちゃんが落としたスケッチブック」
「うそ。旭君見たの?」
「うん。チラッとだけね」
見られていないと信じていたのに、まさか中を見られているとは思わなかった。
「美術室の窓からグランドを眺めているこいちゃんの姿を何度も目にしてたから『何を見てるのかな?誰を見てるのかな?』って凄い気になってた」
微笑みながら話をする旭君に嫌悪感は読み取れないけど、私は生きた心地がしなかった。
「俺ってあんな表情で笑ってる?素直に嬉しかったよ」
私を気遣ってそう言っただけに決まってる。
穴を掘ってでも今すぐ地中深くに潜ってしまいたい。
「ホントは気持ち悪いって思ったんでしょ?ストーカーかよ?って正直に言ってくれても大丈夫だから」
全然大丈夫じゃないのに、そう言って強がってしまう私は素直じゃない。
「そんなこと思う訳ないだろう。あの時も見た感想を口にしようかとも思ったけど、こいちゃんは知られたくないように見えたから何も言わないことにしたんだよ」
私の大好きな人は昔から他人を気遣うことのできる本当に優しい人です。


