直ぐに帰って行くかと思いきや坂口さんはまだ私に言い足りないことでもあったのか?
私をギロリと睨みつけながら言う。
「後藤君はこう見えてあちのテクは中々なのよ。小岩井君みたいに見てくれの良い男は自分本位でつまんないエッチしか出来ないと思うの……精々仲良くすることね」
「旭、こいちゃん。悪い……またな」両手を合わせ申し訳なさそうに、でも何処か誇らしげな様子の後藤君と私と旭君を気まずくさせるには十分な爆弾を投下した坂口さんは今度こそ本当に帰って行った。
バタンと閉じられた玄関ドア。
いま小岩井家の玄関は針一本落とした音でも拾えそうな程、シーンと静まり返っている。
その状況を打破するべく口火を切ったのは旭君。
「取り敢えずリビングに行こう」と言われ、私はコクコクと頷くことで返事をして二人でリビングに向った。
まだ先程の光景が生々しいリビングのソファーに旭君と並んで腰掛ける。
何から話したら良いのか考えあぐねていると「一週間も連絡が取れなかったのに、今日は突然どうしたの?」怒りが再燃したらしい旭君からの問いかけで、この一週間ずっと私に連絡をくれていたと分かり申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


