「私と飛鳥の引き立て役……

そんな酷い悪口も言われたのにどうして一緒に居てくれたの?」

「ホントだ、こい何で?」

カンナちゃんと飛鳥ちゃんの問いかけには迷いなく返事ができる。

「二人のことが好きだから……何を言われてもただ一緒に居たかったの……」

ニヤリと悪い微笑みを零すカンナちゃんを久々に目撃して驚きに目が真ん丸になる。

「ふ~ん。私と飛鳥のことが好きだから何言われも平気だったの?

それじゃー小岩井旭のことは私や飛鳥より好きって訳でもないのかー」

「違う。カンナちゃん……それは違うよ」

いくらカンナちゃんでもその言葉だけは容認できなくて、ついムキになって反論する。

だって好きの種類こそ違っても私が旭君を思う気持ちは本物だから……

私が感情的に反論するのをしたり顔のカンナちゃんとそんなカンナちゃんを感心した様子で見つめる飛鳥ちゃん。

「私ってホントに馬鹿。こんな簡単なことにも気付けないんだから……」

何も行動していないのにウジウジ悩んでるのが馬鹿みたい。

私が思いを告げたら旭君がどんな答えを出すのかもまだ分からないうちから『私と旭君とでは釣り合いません』と言っていたのは唯の逃げ口上だと本当は分かっていた。

望み薄でも100%失恋すると決まった訳じゃない。

たとえ私の望みが叶わなくてもこの思いだけでも伝えたい。

旭君を困らせてしまうかも知れないし、「こいちゃんはやっぱり友達としか思えない」そんな言葉を聞くことになるかも知れない。

『あの時、告白なんてしなきゃ良かった』って後悔することだってあるとは思う。

それでも私を思い家に駆け付け憎まれ役を買って出た親友をこれ以上失望させたくはないし、意気地なしの自分にこれ以上失望したくないから……

なけなしの勇気を振り絞って、私は旭君に告白すると決めた。