絶対やせて貰います。


動揺から立ち直った飛鳥ちゃんは喜びより怒りを滲ませながら問いかける。

「二人が付き合ってたとか聞いてませんけど……」

カンナちゃんと遼君が付き合ってたなら二人の直ぐ近くに居た私が知らない筈はない。

入籍が済むまで何も教えて貰えないかったことをただ無性に寂しく感じていた。

「そりゃー付き合って無かったからだろ」

「はぁ?どこかの芸能人みたいなこと言わないでよ。付き合ってなくて結婚できる訳ないでしょ。どこまで人のこと馬鹿にするの」最早ケンカ腰の飛鳥ちゃん。

「遼の言ってる事は本当だから……怒らないで飛鳥」カンナちゃんは飛鳥ちゃんの剣幕にシュンしながらこれまでの経緯を話してくれた。

遼君のお父さんがカンナちゃんのお父さんが社長を務める会社で働いていること。

二人が幼馴染だったこと。

中三の頃に遼君のお母さんがカンナちゃんへの恋心を断ち切るように諭したこと。(そこに若干の誤解があったらしい……)

もう連絡も取り合わない。口も利かないと二人で約束したこと。

それでも、ただ近くで見て居たくて幼稚舎から通う名門校から遼君と同じ公立高校に受験し直したこと。

私と飛鳥ちゃんにも話せなくてとても辛かったこと。

カンナちゃんのお見合い話が進んでいることを母親から聞いた遼君が『もう離れて居られない』と心を決めてカンナちゃんにプロポーズしたこと。

二人で両家の両親を説得するつもりが大喜びされて好都合だからと直ぐに入籍させられたこと等を全て話してくれた。

カンナちゃんの話を聞いている内に二人の純愛が切なくて苦しく胸にジーンと響いてくる。

私と飛鳥ちゃんは涙止まらなくて最早顔がぐちゃぐちゃでドロドロになっているのに心は晴れやかだった。

今度こそ本当に心から二人が結ばれたことを祝福することができるのだから……