「遅れてごめーん。お腹すいたーもう注文した?」
「飲み物だけね。飛鳥は生でいいよね?」
カンナちゃんは早速、飛鳥ちゃんを案内してきた店員さんに飲み物と直ぐに出てきそうなおつまみも注文していた。
飲み物が揃ったところで3人で乾杯をする。
「カンナ。こい。就職内定おめでとーかんぱーい」と飛鳥ちゃんが乾杯の音頭をとってくれた。
今日の目的は就職祝いでは無かったけれど、偶然が重なってそんな流れになっていた。
「でもさ……召集が掛かるのが急過ぎやしませんか?お嬢様。それから何で予約名が吉川なの?」
飛鳥ちゃんも上杉の名前で予約が入っていると思い店員に聞いたら予約が入っていないと言われたらしい。
私と違ったのは、長身の美人と小っちゃくて可愛い女性の2名が来ている筈だと言ったところ吉川様で予約が入っていますとこの席に案内されたことだった。
カンナちゃんが口を開きかけたところに飛び込んできたのは……吉川遼君。
「もう話した?」と遼君は当然とばかりにカンナちゃんの隣に着席。
「飛鳥が遅れて来たから……まだ話してない」遼君の姿を見てホッしたような表情で微かに頬を赤らめるカンナちゃん。
「はぁ?なによ。私が悪い訳?なんでここに遼が来るかな」相変わらず遼君には辛辣な態度の飛鳥ちゃん。
おつまみと一緒に何故か注文もしないのに遼君の生ビールも運ばれてきてビックリしたら席に着く前注文して来たとタネ明かしされた。
「遼も就職内定したらしいね。おめでとー」どこまでも口調はドライにお祝いの言葉を口にする飛鳥ちゃん。
「もう一つ祝って欲しいことがあるんだけど……俺とカンナ、今日婚姻届出して来たから」
「あっそ、それはおめでとー」飛鳥ちゃんは先程と同じ口調でおめでとーを口にした後に驚愕の表情を浮かべている。
私だってきっと同じ表情に違いない。
「「婚姻届」」私と飛鳥ちゃんの言葉が重なった。
婚姻届を提出したって事はカンナちゃんと遼君は夫婦になったってことだよね?


