「最後になるかも知れない……ってどうして?」

その言葉が切っ掛けとなって話し始める事が出来た。

小岩井家に来る前に旭君にダイエット終了宣言をしたこと。

ダイエットが終わったら小岩井家に来るのを最後にすると一年前から決めていたこと。

小岩井家の前に立ったら急に寂しくなって知らず内に涙が流れていたこと。

上手く話せたかは分からなかったけれど、どうにか私の思いは伝える事が出来たようだった。

「うーーん。

でも何で旭のダイエットが終了したらこいちゃんが我が家に来れなくなるの?」

納得できない様子でそう聞いてくるマリアさん

「それは……旭君の彼女が嫌がると思うからです」

「えっ……旭に彼女が居るの?」

私の言葉が意外だったのか?

凄く驚いたのだろう。

大きな目を更に見開き驚愕の表情を見せるマリアさんに慌てて言う。

「今日会った人が彼女なのかは分かりません。

でも……もし私が、彼女の立場だったら嫌だと思ったんです

同級生とか友達……

そんな女の人が彼の家に出入りしているのが……

しかも自分よりも彼の家族と親しげにしているのを見たりしたら

複雑な心境になると思うし……

自分が嫌だと思う事はしちゃいけないって決めているので

だから……今日が小岩井家にお邪魔する最後の日なんです」

マリアさんに胸の内を全てさらけ出せたからなのか、

ざわめく心は波が引いて行くように穏やかな心持ちに凪いでいく。