「きっと何か手違いがあった筈だから……もう少し待ってて貰えるかな?」
俺の言葉に疑いの表情を向ける子供たち、仕方のない事だけど苦笑いで
「信じて」と訴えかけるしか術はない。
でもその中の一人が声を上げた。
「僕はお兄ちゃんを信じるよ。
子供だからっていい加減な態度を取らないし、
ちゃんと僕たちの話を聞いてくれたから僕はお兄ちゃんを信じて待ってる」
***
「一人の子の言葉を皮切りに『僕も……『僕も待ってる』皆が同意して待っていてくれたんだ。
その後の俺と店長のやり取りは二人にも聞こえてたのかな?」
私と大神さんは無言で頷いた。
休憩室で眞子さんとのんびり会話しながら待っている間、旭君は大変な目に合っていた事が話を聞いて分かった。
清水店長は旭君の大学の先輩で同じサッカー部に所属していた。
旭君が大学1年の時にケガをしてサッカーが出来なくなった時にバイトに誘ってくれたのが清水さんだったとも教えてくれた。
就職試験を控えて多忙だった頃にケガをした後輩を気遣ってくれるような優しい人。
「お客様からしたら社員だろうが、バイトだろうが関係ないんだからちゃんと真面目に誠意持って仕事に取り組めよ」そう身を持って指導してくれたのも清水さんだったらしい。
それだけに今回の件は旭君にとって精神的なショックの大きな出来事だったに違いない。
いつもとは明らかに違う憂いを帯びた表情を見ればそれくらいは安易に想像ができたから……


