絶対やせて貰います。


カツカツカツカツ……

早い足音に続いて

「マーコ大丈夫か?」

はぁーはぁーと荒い息遣いで急いで駆け付けたらしい眞子さんの旦那様

人目もはばからずガバッと眞子さんの体に腕を巻き付け抱きしめるから見ているこちらが呆気に取られ目のやり場に困ってしまう。

仕事ばかりで妊娠中の奥様に寂しい思いをさせる悪い夫を想像していたら何の事は無い……奥様に夢中な如何にも仕事が出来るって感じのビシッとスーツを着こなしたカッコイイ旦那様でした。

「悟(さとる)く…苦しい。恥ずかしいから人前でやめて……」

眞子さんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして悟さんに抗議するもちょっと嬉しそうにも見える。

「あ…悪い。思わず力が入り過ぎた」

ふわりと腕の力は緩めるも眞子さんから完全に離れるつもりは毛頭ない感じで笑える。

「こいちゃんと彼が助けてくれたの……悟からもお礼を言って」

「話は彼女からも聞かせて貰ったよ。本当にありがとう」

私と旭君に向かって頭を下げてお礼をいう大神悟さん。

「悟。ちょっと……」

眞子さんは大神さんの耳元に口を寄せて何やら小声で話しをしている、それからスマホを手渡した。

「こいちゃんと彼……」

「小岩井旭です」

「小岩井君はもう少しだけ妻と一緒に居てくれないだろうか?」

大神さんの意図が分からなくて私と旭君は無言で見つめ合ってから

「「はい」」返事をする事になった。