「そうだ……お前勝手に関係者以外の人間を立ち入り禁止の場所に入れたそうだな?」
どうやら私たちの事を問題にしているらしい。
「はい。体調を悪くされたお客様が休憩室で休んでいます」
「お前の勝手にやった事は黙っててやるからその品を俺に寄こせ……
でないと今日限りお前はクビだ」
「分かりました。クビで構いません」
何も悪いことなんてしてない旭君がクビになるなって理不尽過ぎる
思わず部屋から飛び出してしまった。
私に気が付いた旭君は一瞬驚いた表情をしたけど直ぐにいつもの穏やかな表情に戻り笑顔を向けてくれた。
「こいちゃん。遅くなってごめん」
「旭君……」
意識をとり戻した眞子さんが私の隣に居る事に気が付いて旭君は眞子さんに
「大丈夫ですか?」と訊ねている。
「はい。二人にはお世話になりました。
お礼は日を改めてさせて貰いますね」
眞子さんは旭君を安心させるようにまだ少し青白い顔に微笑みを浮かべながらそう言っている。


