私は今日も出入口付近で先に車から降ろして貰った。

いつもはこの場所でそのまま旭君が来るまで待っているのだけど、鈴ばあの件が尾を引いていて何だかとても気まずい。

「先に買い物リストに載っている品物選んでようかな?」

そう考えて一足早く店内に入った。

カートにカゴを二つセットしたところで……

スーパーで買い物するにはゴージャス過ぎる装いが目を引くドレス姿の女性が直ぐ傍のカートに手を付いたから自然と視線が彼女に引き寄せられてしまう。

『うわぁー綺麗な人……』

それからの事はあっという間だった。

その女性は具合が悪かったのか?

突然私の方に倒れて掛かってくるから慌てながらも必死にその体を受け止める。

「えぇーーあの……だっ大丈夫ですか?」

そう声を掛けながら女性の体を必死に支えるけれど彼女は意識を失っていて返事がない。

女性が倒れて頭を打たない様に頑張ってはいるものの小柄の私にはいつまで支えていられるか不安で仕方がない。

「だっ…誰か助けてーー」思わず大声を出したところに駆け寄って来たのは旭君。

「こいちゃん……大丈夫?」

「大丈夫じゃない。旭君助けてーー」

大声で助けを呼ぶ私に驚いた表情を見せていたけど直ぐに状況を把握してくれた。

「もう少しだけ、しっかり支えてて……」

私にそう言ってから気を失っている女性の体をひょいと横抱きにした旭君

「このままだと騒ぎになりそうだから事務所の方に移動するよ」

「うん……」

緊張で強張っていた体が一気に脱力した私は旭君にそう言われて漸く周りを見渡す余裕が出来た。

開店したばかりのスーパーとは言えそれなりの人が買い物をしているから、私の大声にざわざわと人が集まり始めたらしく遠巻きに様子を窺っているみたいだった。