絶対やせて貰います。


私が料理を作る際にいつもしている事がある、それは本当に簡単なこと。

一度だけは忠実に材料や調味料を使ってレシピ通りに味を再現してみるってこと。

(まぁー当然と言えば当然ですけど)

『これはちょっと味が濃過ぎるなぁー』とか『甘すぎるなぁー』とかの感想を書き留めたり

『この食材をこれに置き換えた方が好みかも』等の感想も必ずメモを取るようにしていて

いつの間にか自分好みの味になって出来上がったレシピがこのファイルの中に納められている。

「これは錦野家の味というより私好みの味付けになっているので、

あくまでも参考程度にしてマリアさんやひかるちゃん好みの味を見つけてください」

「いいのーこんな大事なもの?」ひかるちゃんが心配そうに聞いてくる。

「うん。良かったらこのレシピは差し上げますから……

調味料の分量を変更した際には余白に書き直して使ってね」

「わーい、ありがとーあぁーやっぱり無いか……」

『ありがとー』とテンション高くお礼を言いながらもペラペラと一心不乱にレシピを捲っていたひかるちゃんが落胆した声で『やっぱり無いか』と言った。

何が無いのだろう?

戸惑いを見せる私にマリアさんがクスッと苦笑い。

「ひかる……ズルはダメよ。

こいちゃんがそう簡単にパウンドケーキのレシピを教えてくれる訳ないじゃない」

そうゆう事でしたか……

さすがにパウンドケーキのレシピは今回持って来ていない。

ここまで引っ張って置いてダイエットが成功した暁にレシピを渡したら

『えっ!これが美味しさの秘密だったの……』呆然とされたのち吊るし上げに合わない事を祈りたい。

「パウンドケーキのレシピはダイエットが成功したらあげるから頑張ろうね。

でも我慢ばっかりだと続かないのも分かるから

数ケ月おきに目標を達成出来てたら、ご褒美にケーキ焼いて持ってくるって言うのはどう?」

恐る恐るひかるちゃんの顔を窺い見ていたらガバッといきなり抱き付かれた。

「きゃあーーうれしーーこいちゃん私、頑張るから」

初めての出会いのツンツン振りが嘘みたいにひかるちゃんは喜びを体全体を使って表現する

『マリアさんにソックリだな……』

ここが日本だと忘れそうになるくらいにハグが日常になりそうな予感がしている。