「この頃お父さん残業や休日出勤ばかりだし、家で殆ど食事をしないけど大丈夫なのかな?
あんまり顔色も良くなかったし、最近痩せてきたよね?」
私も小岩井父とお会いしてその顔色の悪さが正直なところ凄く気になっていた。
実際に会って言葉を交わしたのはとても短い時間だったけど、
うちの父と年齢もほぼ同じくらいに見えたからかな?
『業務量も責任も重くなるのに反比例して体力は衰える一方だから、
”年取ったなぁー”って日々感じるよ。ハハ…』と苦笑した父の姿をふと思い出していた。
「お母さん、お父さんとちゃんと会話してる?」
ひかるちゃんの声が聞こえていないのか?
マリアさんは何か考え込むような、そんな表情に見える。
ダイエットに誘った時の表情や今の何とも表現し難い憂いを帯びた表情は、最初に挨拶をさせて貰った時の明るいマリアさんとはまるで別人みたい。
旭君がそこら辺の理由を知っているのかは分からないけど……
私と同様に心配げな表情でマリアさんを見守っている。
重く沈んでしまいそうな雰囲気を替えて、マリアさんに笑って欲しかった私は思い付くままに話始めた。


