絶対やせて貰います。


「ただいまー」

マリアさんを説得する言葉を考えたいた私は玄関ドアが開いて人が入って来た音に全く気が付かずにいたから、近くで”ただいまー”の声が聞こえたのには驚いて相手の顔をマジマジと見てしまい挨拶が遅れてしまう。

「あっ……お父さんお帰りなさい」

「おかえりー」

ひかるちゃんと旭君がお帰りなさいと声を掛けた人は写真で先程その姿を認識したばかりの小岩井父だった。

「あれ?こんばんは、ひかるの友達かな……」

私をひかるちゃんの友達と勘違いしたらしい小岩井父から先に声を掛けてくれた。

「彼女は錦野鯉子さん、俺の高校の同級生だよ」

「はじめまして錦野と申します。

夜分にお邪魔してしまい申し訳ありません」

旭君のダイエットに協力をお願いする為に訪れた小岩井家、これからの事を何も話していないのにかなり遅い時間になってしまった。

「うちは全然構わないけど錦野さん、我が家に居ることをご家族に伝えてあるの?」

「両親は親戚の結婚式に出席するのに地方に行っています。

弟も合宿で不在なので今日は誰も家に居なくて……」

私の話を聞いていた小岩井父は少し考えてからこう言った。

「今日はもう遅いから泊まって行きなさい」

突然お邪魔した小岩井家、もちろん泊まるつもりなどはなから考えていないのに……