ちいさな掌、低い囁き



「ちょっと若いけどまぁこいつなら大丈夫だろ」



って、私の知らないところでなんか話をまとめないでよ。



「あぁ。じゃあ明日からそっちに行かせるわ。じゃあな」



由紀兄は電話を切ると改めて私の方を向き、



「喜べ、楓。お前の再就職先見つけてやったぞ」



「はぁ?」



由紀兄の突然の一言に、アルコールが入りボーッとしていた頭が一気に冴える。



「しかも、家付き・高収入」



そんな、うまい話あるわけないじゃない。きっと、由紀兄がからかってるだけよね。そう思い、騙されまいと由紀兄を睨む。



そんな私を見て由紀兄は、「お前、俺のこと信じろよ」と肩を竦めながら笑う。



「ある小説家の、ハウスキーパー兼ベビーシッター。俺の仕事関係だから、信用してくれ。それにお前は選べる余地は無いよな?」



由紀兄は大手出版社で編集者の仕事をしている。



その関係と言われれば、信用しないはずがない。しかも、ベビーシッターとしてまた子どもに関われる仕事が出来る。しかも、高収入なんて…