歌い終わって、ふうと息を溢した。

辛い時、悲しい時、この唄はいつだってあたしを元気にしてくれる。あたしの大切な大切な唄。



「あたしの、願いか──」



ふと思う、星に願う事。

願い事ならたくさんある。彼氏が欲しいだとか、恋がしたい、だとか。だけどそれは願う事じゃない気もする。自分で手に入れなきゃならない事だと、思う。

そう考えると願い事って難しい。




「なに唸ってんねん」




顎を抱え考え込んでいると、後ろからそんな声。



「あ、起きてたの?」



後ろに振り返れば眠たそうに目を擦る亮。その姿が少し可愛くて頬が緩んだ。




「やって寝れへんもん」

「ごめん、うるさかった?」

「んー、ちゃう。」




何だか亮の様子が可笑しい。ハキハキしてないというか、甘えた声というか。

にへら、と笑う彼を見て気づいた。

…コイツ!寝惚けてる!




「あのベッド寝心地悪いねん」




とか言いつつアタシのベッドに入り込む。いやいや、明らかにプール用ベッドより寝やすいでしょう。

だけど、これはラッキー。久しぶりに揺れないベッドで眠れるんだ。