血の記憶









「香坂?」


「……っ私、先に教室に戻ってるから」



心配してくれていた、心配してくれていたんだ。


その高橋くんを私は突き放した。


人のことを考える余裕なんてなかった。


ただ後悔していた


なんで気を抜いてしまったんだろう


もしかしたらどこかから亮くんが見ていたかもしれないのに。







その日の授業は驚くほど早く過ぎていった。