そうだ。

これは仕事だぞ。

お金を戴いているのだ。

世の中を舐めるな一子。

私は利也さんに何度も頭を下げ、パチンと頬を叩いて気合いを入れ直した。

坂下が会計に来たときも、努めて仕事として対応した。



「ありがとうございました。またお越しください」



ドアを開けていつものように言うと、坂下は口許を緩めた。



「また明日」



その言葉が私の耳に届いたとき、坂下はもう後ろ姿だった。

だけど一瞬、目が合った気がする。

なんだかほっこりとした満足感が、私の心を満たした。