「あのー、まだわかることってありますか?小さな事でもいいんです。」

「えっとねー、たしか、秋穂の友達が、かくれんぼをして遊んでいて、秋穂が『鬼』だったそうよ。
あ、あとね、遊んだ場所が、M中学校だったはずよ。」

もしかすると、私が昨日かくれんぼをした場所はM中学校なのかもしれない。何がどこにあるとかも知りたいな。
「あのー、その場所ってどこですか?」
松田くんが場所をたずねた。
「すぐそこにあるわ。途中まで案内してあげる」
そう言うと、玄関に歩いていった。
私達も後を追っていった。


M中学校の場所は、本当に近くて、信号を渡って、狭い道を抜けたらすぐだった。

「あとはもうわかるね。M中学校は今はもう、廃校だから、バレないようにしなさいよ。」
「はい。ありがとうございました。」

そして、私達と春子さんは別れた。

M中学校は、門がしまっていたが、登ったら簡単に入れそうだった。
男子二人はさっさと入っていったが、女子には少し登りにくかった。

すると、松田くんが、手をかしてくれた。
力も強い方なので、私達を簡単に持ち上げてくれた。
「松田くん、ありがとう。」
「これくらい平気だよ。あ、あと、『松田くん』ってのやめてさ、祐希って呼べよ。皆もそう言ってるし。なんか、変な感じするんだよね…。」
「わ、わかった…。じゃ、じゃあ、祐希くんでいい?」
「うん、まだそれがいいや。」

な、なんか下の名前で呼ぶの、緊張する。


そして、私達は校舎の中に入った。やっぱり、ここが【かくれんぼ】をしている学校だった。廃校なのに、なんだか警備がゆるい気がする。
鍵が簡単に開くなんて普通ならありえないし、それに見た目的には廃校になって、しばらくはたっているはずなのに、なぜまだ壊されてないのだろう。


やっぱり、何かあるのかもしれない。

校舎の壁には落書きが書いてあった。不良とかが入って書いたのだろう。

廃校になっているはずなのに、校舎の中の掲示物などは、全て当時のままだ。

そして、私達は、昨日私が見つかりそうになった図書室に入った。
新聞などをみるためだ。

だけど、鍵が開かなかった。
玄関は普通に開くのに、教室の鍵は閉まっているって…

「はあ…。開かないじゃん!」
神谷くんがぼそっと呟いた。
「まあ、仕方ないよ。開いている教室をしらみつぶしに調べよう。何か見つかるかもしれないしな。」
まつ…祐希くんがそう言って、歩き出した。
まずは図書室がある2階から調べるらしい。


この校舎は、どうやら上から見ると、「H」のような形をしているみたいだった。
図書室は、その「H」の形の左の下の方にあたる部分にあった。

図書室からまっすぐの廊下を進むと、美術室が2つあった。
掲示物がたくさんあり、紙が少し古くなっている。