ひとりかくれんぼ

｢あれは、今から30年くらい前だったわ。
秋穂は私の大切な大切な娘だったの。

あの4月4日の昼頃に、友達と遊びに行くと言って出ていったの。
私があの子を見たのはあの時が最後だった。

夜になっても帰ってこなくて、友達の親に連絡をしたの。友達はとっくに帰っていて、秋穂は見ていないと言うの。
他の友達の親にも連絡したけど、皆同じだった。

私は慌てて警察に連絡をして、捜索してもらったけど、結局見つからなかった。
それから毎日毎日警察は探したけど見つからなかった。
新聞にも載せてもらったけど、なんの連絡も来なかった。

そのうち、警察も諦めて、捜索をやめてしまった。
でも、私は諦めきれなくて、頑張ってやったこともないサイトに載っけたの。それが28年くらい前よ。


でも、それから現在まで、まだ見つけたと言う連絡はないわ。
きっと、もうあの子は…。｣




そう言うと、泣き出してしまった。とても辛かったのだろう。
でも、今の話から、「秋穂ちゃん」も【ひとりかくれんぼ】をしていた可能性があることがわかった。『鬼』に見つかってしまったかもしれない。

｢話してくれてありがとうございます私達が必ず見つけます。｣
私はつい、口走ってしまった。
｢は？何言ってんの、お前。｣

神谷くんが小さな声で言ってきた。
でも、よく考えたら、仮説だけど、自分の呪いを解かせながら、自分の事を見つけてほしいんじゃないかな…？


｢本当に探してくれるの？｣
春子さんが落ち着いた声で聞いてきた。
｢はい。それに、もしかすると、見つかれば、呪いを解くヒントがあるかもしれませんし。｣
｢なら、私もわかったことがあったらすぐに伝えるわ。そのために、どちらか、ケータイの番号を教えていただけますか？｣
そう言ったので、私の番号を教えておいた。