ひとりかくれんぼ


そして、しばらく悩んだけど、結局何も浮かばなかった。

気づけば、もうそろそろで昼になる。でも、外が暗くて夜にしか感じなかった。


「なんか、お腹空いたな。」
「うん。」
「食堂行くか?」
「そうしよう。あ、でも、その前に、ちょっとトイレ行って来るわ!」

そう言って、神谷くんがトイレに行った。

「はあ。どうしよう。きっと次は神谷くんが死んじゃうよ…」

「でもなあ…。解決法がわからないんじゃなぁ…」
「やっぱり、最終手段しかないよ!」
「でも、秋穂だって死にたくないんだろ?!」
「それはそうだけど…。でも、皆が死ぬよりは怖くない!」

私は強く言い返した。

「っ…。」

祐希くんは悲しそうな目で私を見ていた。

すると、祐希くんから思いがけない言葉が出て来た。

「ずっと、秋穂に言いたかったことがあるんだ。」
「え?」
「俺は、秋穂が好きなんだ!だから、死なせたくない!」

「…‼︎」

私はあまりに唐突で、言葉が出て来なかった。

私も本当は、ずっと気になってはいた。

でも、もしここで私が「はい」と応えれば、最終手段も無くなる可能性がある。

私は皆の命を救うためだ、と言い聞かせ、そして応えた。

「すごく、その気持ちは嬉しいけど、でもごめん…。」

「そっか…。でも応えてくれてありがとう。」

そう言いながら、悲しそうに笑っていた。
私は胸が痛かった。

ずっと心の中でごめんねと言い続けていた。

でも、どうせ消えちゃうから。死んじゃうから。
だから、こう言うしかないんだ。

私達が気まずくなっていると、神谷くんが戻って来た。

「昼飯食べに行こうぜ!」
「あ、ああ。そうだな。」
「う、うん。」

少し遅れて私も言った。

そして、男子2人はさっさと行ってしまった。
部屋に、私と菜子の2人だけになってしまった。

そして、私が恐れていたことが起きた。