私は走って2階に行った。

確か、昨日は2階の図書室や、PC室を調べたから、今日は美術室を調べなくちゃ。

私は美術室に向かって走った。隠れる場所の少ない美術室だけど、何とかなるよね…

私はそう信じて美術室に入った。中はとくに何もなかった。

放送では、あと20秒だ。何も無いんだったら、ちゃんと安全に隠れる場所を探さなきゃ。

でも、20秒で隠れられそうな場所はなかった。
ここに来ないことを信じて、私は美術室の道具の隙間に隠れた。


「かくれんぼを開始します。」

かくれんぼが始まった。
私は耳を澄ましてみた。だけど、足音は聞こえない。声も。

今だったら出られる!と思ったけど、ルールには1分以上たたないと移動しちゃダメとあったから、出来なかった。


私はその間、ずっと耳を澄ました。だけど、一度、声と足音が聞こえただけで、後は何も聞こえなかった。

声は、完全に3階に向かっていたから、2階にはいないはず。

私は美術室を飛び出した。向かったのは、1年生の教室。

前、現実で行った時、1年4組の教室に色んなものがあった。
だから、もしかすると、かくれんぼの間にも何か見つかるんじゃないかと思ったから。

行ってみると、1年4組の鍵と、中に紙が入っていた。それはもう、現実で見ているので、見なくて大丈夫。

私は教室に入って、少し奥に行くと、黒板の横のホワイトボードに、1年4組の集合写真らしき物があった。

私はその写真を見てみた。もしかすると、山田秋穂が写ってたりしないかなと思って。

すると、私は1人の人を見て、どこかで見たことがある気がした。


でも、思い出せない。だけど、絶対に何処かで見ている。もしかしたら、似ている人を見たのかな…?

そう思った時、この写真の人と、重なる顔が浮かんだ。

それは、
あの腐敗した死体だった。腐敗して、よく見えなかったけど、でも、この写真の人とよく似ている。

もしかして、この写真の人も、この【ひとりかくれんぼ】に巻き込まれたのかな?そして、見つかってしまって…

私は写真の下の方に、全員の名前が書かれてあることに気づいた。

左から順番に書かれてある。

そして、その人の名前を見ると…


山田 夏実…

「や、まだ…?」

もしかして、山田夏実って、山田秋穂のお姉さんとか…?

明らかに山田秋穂よりは年上だ…
でも、自分のお姉さんを殺すなんて…

しかも、あんな酷い状態になって…
残酷すぎるよ。