私はダンボールのふたを手でおさえて、ダンボールの下に穴を開けた。


そして、女の子に体当たりをした。
全力で。



ところが、女の子は全くびくともしなかった。



私は驚きで、ダンボールを手から放してしまった。


「うそ…でしょ…?」


私は死を覚悟した。


恐怖で体は動かないし、第一、もう見つかってしまった。


女の子は私を見て、ニヤリと笑った。


「みーつけ…」


「10分だけ休憩時間を設けます。」


女の子が「みーつけた」と言おうとしたとき、放送が流れた。


すると、側にいたはずの女の子が消えた。


「あ、危なかった…」


なんとか助かった…
でも、これじゃあ、倉庫だろうが何だろうが見つかってしまうということだ。


もう一度隠れる場所を考え直さなければならない。



とりあえず、どこか隠れる場所がないか調べてみることにした。



教材庫を出ると、すぐそこに女の子がいたのだ。
その姿を見て、私は固まってしまった。


さっきは怖くてよく見てなかったが、女の子は全身が血みどろだった。


「あ、あ…」

私が固まっていると、女の子はこちらを見て、またニヤリと笑った。



私はあわてて逃げた。
休憩時間だから追ってくるはずはないけど、とにかく遠くへ行きたかった。


追ってきているような気がした。



私はとにかく遠くへ逃げ、後ろを振り返った。

女の子はいなかった。


それに安心して、そこに崩れ落ちた。


しばらく私は放心状態になった。



「あと5分です。」


菜子の放送で我に返った。
もう、あと5分なんだ…


嫌だよ。
あんなの怖すぎる。


どうしてこうなったの…?


考えていても今は仕方がない。

とにかく、生きて帰らなきゃ…



私は周りを見回した。
時計が目に入った。そういえば、かくれんぼが始まって何分だったのだろう?


まだ10分ほどしか経ってないような感覚だけど…


時計は古くてもう動かなくなってしまったのだろう。
時間を確認することができなかった。



私は恐怖に震える足で立ち上がった。

とにかく、隠れる場所を探さなきゃ!


私はこの学校がどのような造りになってるのか確認するのをついでに隠れる場所を探しに向かった。



私はまず、3階へ向かった。
上の階から順に調べていくことにした。



私が階段を上っていく途中だった。


「あと1分となりました。59、58、57、56、55、54…」

またカウントダウンが始まった。


私は走って3階へ向かった。
とくに目的地はなかったが、とりあえず隠れる場所が見つかればいいとそれだけの気持ちで階段を駆け上がった。


だけど、どんなに走り回っても、隠れられそうな場所はなかった。


教室は掃除用具入れくらいしか隠れる場所はないし…


私は一生懸命考えながら隠れる場所を探した。


だけど、そんな場所はとくになかった。


「10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1。再開します。」



始まってしまった。
私は、近くにあったトイレに駆け込んだ。


そして、1番奥の個室に入り、鍵を閉めた。


だけど、上はガラ空きだからすぐに入ってこられるだろう。


もう、来ないことを祈るしかなかった。
私は息を止めて、小さな音も逃すまいと耳を澄ました。